時を感じて教えてくれるもの

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今日は、本物のオールドジャーマンピアノでした。

古くて良くなるピアノ、良い材料をうまくかみ合わせて良い設計思想をもって作られて保管されているピアノ。

 

100年以上前のタイプです。

アクションも現代とは少し違います

 

「良い音がするので」と。

ご紹介でお声かけいただきまして、お伺いさせていただきました。

 

調律師も、どちらかというと国産の製造されて50年程度までのものが仕事の多くを占めます。

しかしピアノ自体は、とても長寿なもんですから、人よりはるかに長生きでふとその盤上に指を落としてみて、その枯れた音と音の樹木の間から光が差し込みが雅な音

 

これが、これこそが音楽が歩んだ歴史とともに常にその傍にいた楽器であると、大きなフォルム全体で力いっぱい豪快に語るのです、そしてそれが結局なんだというと博愛につながるかのようなもの、この時代になるともう向こうから語ってこない、ただ微笑んでいるだけ。

 

ざっと弾くと、まだまだアクションメンテナンスは行き届いてなくて大変弾きづらいですし基本動作として問題があるところがあります。しかし、なんとも枯渇した味わい。

内部のアクション。

ハンマーもパンクしていました。

このフェルトの密度の濃さ、高級生地に使われるような上質なものが、ピアノハンマーに使えた時代なのかなと。

巻いて応急処置します

象牙、黒檀鍵盤。

調律はじめます。

ただ、これだけの時代のものになるととにかくゆっくりピッチをあげていきます。

とにかく最小の動きでこっそり介護のように動かしていきます。

 

アクションを出すのんもオーナーさんと3人がかりで。

スタインウェイに近い構造でした。

アクション。

ネジまわせば簡単に調整できるものがありません。

つまり寸法あわせるのに、フェルトを交換したりと大変手間になります。

即戦力になるようざっとハンマーの繊維をペーパーで整えて雑味を一気に取り払います。

この時代のものもハンマーをフェルトを巻き直したりと、修理もできますが基本的にその100年前のハンマーをそのまま整えて使う方が良い音がでます。

100年前の本体木部。

 

鍵盤蓋はスタインウェイ式のタイプ。

響板に音を集める方式が取られています。

つまり、音をバカおおきくとる設計ではありません。

木材の良さを響かせるため、金属の干渉の設計はありません(現代の多くは共鳴させます)

あれ?

何かの音に似ていない?

そうべヒシュタインにどこか似てました、すると・・・。

同じようにすべてアグラフといわれる部品で止められ、高音まで余計な響きを取り除く設計。

そうスタインウェイによって遠くて音を届ける設計がたくさん考案されました。

 

ぜひイベントを企画して使ってくださいとのことでした。

もう少しメンテナンスが必要ですが、鋼鉄のタッチは無用のピアノでした。

古いピアノというのは、こういったタイプのもので30、40年前の日本のG3やC3などを指しません。

 

オーナーさんからお話しを聞かせていただくと、会社のオーナーさんとのことでいろいろとお話しをきかせていただきました。

専門の技術会社にようで、その道の現代のエンジニアでは

 

「アッセンブリ交換でしか仕事ができない」と人が中途採用で入ってきてはすぐに使えないと。

 

つまり「修理」ではない、「部品交換屋」でしょう。

とのことでした。

修理というのはそうゆうことではない、と。

ピアノも同じで、この時代のものは部品を作るところからしないといけません。

 

例えばアッセンブリ交換となった場合でもどういった意識でそれをつなげていくのか、それで大きなピアノの方向性の分岐点になってしまいます、では、「修理人」としてありたいが故そうするのか、というと自分はそれもとても変です。

どうもこの段階で業界の空気が停滞してしまっている気もしないでもありません。

 

現代は現代ですばらしいものができています、しかしまずどんどん商業的に成功しないと何もできないという厳しい状況に追い込まれているのは間違いなさそうです。

 

もう部品がありませんが、同等のようなものを作ったり、銅線からスプリングを加工していきます。

 

 

前後にカプチーノを1杯つくっていただいて。

ご紹介していただいたお客様がこられて、はたまたお手製カプチーノを作っていただきました。

でもカプチーノをここでUPして、お客様のお家でハートマークの泡ができてました!とかいっても仕方がありません、それは他の方に多くの方々へ任せたいと思います。

 

おそらく、こういったピアノで弾いていくと、勉強になる、というのは弾くのは何がためか、と思ってしまうのでそうはいいたくありません、普段からスタインウェイをホールで弾く準備のためにだけにスタインウェイをもっても仕方がないと、感情の投げかけが楽器とできるようなると、そうはっきりと感じさせます。

 

現代のものは国産であれドイツ製であれ、口当たりがやや良すぎる気がしました。その中で技術者も口当たりの良さの中でのせめぎあいに飲まれていってしまってはいないか、そう問われた一日でした。

 

色々な出会いをいただくのは本当に思わぬ「その時」だと痛感しますね。

 

 

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      コメント一覧

      ふるい(戦前〜戦後すぐ位の)ピアノが良い音するのは、良い木材が長く熟成されたからだと思っていましたが、最近それだけではなくどうもそもそも設計から違う?と思っていた所でした。
      どこかの時点からフレーム鳴りなども巧みに織り交ぜて、高音域までムリなく安定して響かせられるような設計になったのでしょう。反面、そのピアノの芯から来る肉声のようなものが、常に美麗なお化粧響き?に紛れて聞こえにくくなったように感じます。何が違うのでしょうね。

      • TAKEさん
      • 2017/09/29 9:24 PM

      ベートーベンの話になってくるのかもしれませんが、一般的にホールの巨大化に比例して、、時代時代に求められるものに対して、それは音楽という括りをこえた広い意味でのその時代に対して、その空気をすっている設計者自身の自覚のないところで思考回路にも影響を与えているのは間違いないように思います、またピアノをさわっていて、その時代時代を象徴していることに出くわすこともままあるように思います。

      また、なんでも簡易的に便利で接しやすい形が現代の傾向の一つとしてあるでしょうか??
      そして知らぬまに自身もそういったものを望んでしまう体質になってしまっているのかなと…。

      カポやアリコートに慣れすぎてしまって、こういったピアノの高音を調律していると、すぐに響きを足してしまいたくなる気持ちについなってしまいます。

      YOUTUBEでは演奏をなかなか最後まで聞いてられません、次から次へと変えてしまいます、わざわざディスクを探してデッキの電源を入れて椅子に腰かければ長く味わえて深い余韻と印象が残ります。

      ピアノ、音楽も今後どう推移していくのか、自分の行動を振り返っても、俗語になってしまった「癒し」のツールの延長線上で派生していくことと、とても原点回帰する方向へはいかないと思ってしまいます。

      • gclefさん
      • 2017/09/30 12:18 AM

      ベートーベンの時代と比べたら、きっと信じられないような音色で今は演奏している可能性がありますね。昔は今の感覚からすると濃い音色が多かったのでしょうが、音色はやはりその時代時代のものであって良いのでしょうね。今はイージー、がキーワードなら電子ピアノも視野に入ってきそうですが(笑)
      60数年前のピアノを直した時、ハンマーを交換しました。元のレンナーハンマーは濃い黄色で弦溝もほとんどなく、素人目にはまだまだ良さそうに見えたのですが、もったいないことをしたかなと後悔しています。

      • TAKEさん
      • 2017/10/01 2:41 PM

      そうですね、例えば住宅事情の消音ユニットも大変有効なツールかと思いますが、それだけで使っていけば耳を傷める可能性もあると思っています。

      ピアノや音楽も色々な形があって、と思いますが、しかしピアノも音楽も環境、社会的ストレス過多を覆ってしまうための強い刺激を与えるエナジードリンクのような位置づけにどんどんなっていってしまいそうな気もします。座って深い呼吸ができるピアノが少なくなっていきそうです。

      ハンマー交換されたんですね。
      交換修理はおそらく台数している方かと思いますが、自分自身の感覚としては音が新しくなる、という意味で必ず良い方向へいきやすいかと思うのですが、古いピアノにおいてハンマーだけ、という形をとってしまうと一部だけ真っさらなキャンパスになってしまう可能性と、先端ができた古いハンマーの先端の「叩かれた硬度」が古いピアノには、なぜかいるように感じることが多いです。

      現代の国産ピアノ、80年以後のタイプは整形してその場ではこれでよし、と思ってご納品、来年調律へ呼んでいただいて、随分音が荒れて聞こえることが多いですね。となると交換しておく方が音もちが良かったりすることも多いです、さらに新しいのはタッチ、音、何にしても荒れてきやすい気がします。

      • gclefさん
      • 2017/10/01 11:42 PM
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